9.大家へ出した内容証明・その1(おまけ・内容証明の書き方)



内容証明郵便というのは、手紙を三通用意して、一通を相手方に出し、一通は自分で保管、そしてもう一通を郵便局が保管して、「この内容の手紙を出したことは間違いない」と郵便局が証明するものです。それ以上でもそれ以下でもありません。
ですから、手紙の内容について法的拘束力があるわけではないのですが、これを出す前提として「裁判の証拠になるぞ」という意味合いがあるので、のらりくらり誠意のない相手とか、好き勝手やってる相手とかの襟首を捕まえる役割くらいはあることになるのです。
カーボンの内容証明郵便用便箋というものが売られているようですが、買う必要はありません。
横書きでも縦書きでも可。ワープロでもOKです。
横書きの場合、書式は一行25文字の20行であればA4でもB5でも構いません。
何枚でも書いてよいのですが、一枚あたりいくらで計算しますので、簡潔に書いた方がいいでしょう。
二枚以上にわたるときには、右側を閉じて、見開きのページの間に割り印を押します。これを二部コピーして、原本と一緒に郵便局へ持っていけばいいのです。
郵便局の人に「配達証明をどうしますか」と聞かれますので、「お願いします」と言いましょう。
相手が受け取ったかどうか確認してその結果を通知してくれるもので、若干料金は上がりますが、これがないと、相手がいつ受け取ったか判らないので不便です。
私が初めて書いた内容証明はこんなものです。

          通告書

一、私は貴殿との間に、以下の項目を要素とする賃貸借契約を締結し、平成十年七月二
  九日目的物件を明け渡しました。
   目的物件 集合住宅四階405号
   名称   九品寺M78星雲ビル6階建4階405号室
   敷金   入居時に二二万八千円也
  仲介人  合資会社 無責任事務所
二,退室時、無責任事務所立ち会いで部屋の状況についての指摘もなく部屋を明け渡し
  ました。
三,貴殿より九月十八日請求書を受け取りました。この請求書については以下の点を除
  いて同意できるものではありません。見積書にある網戸については私の過失による
  もので認めます。また、計算書にある畳・襖の張り替えについては契約書の特約と
  なっていることであり、認めても良いものと思います。以上のその余の請求につい
  ては全く過大なものであり、認められません。またハウスクリーニングについては
  契約書の特約、清掃費の負担の範疇に入る可能性もありますが、この見積書では部
  屋を全面的に改装するものであり、その場合ハウスクリーニングを当方が負担する
  必要はありません。
四,見積書の内容では、これは現状回復ではなく完全な改装です。
五,私は現状回復が必要な現状の変更を一切行っていません。ワックスをかける等現状
  維持に努めていました。
六、判例や実務の流れに於いては、通常の経年使用による老朽化の賠償は賃借人の責で
  はなく、家賃に含まれているものです。
七,以上、貴殿の請求の大半は理由がなく過大なものであり、私の責任又は責任と思わ
  れる部分を除く敷金の残額十五万一千四百二十円也の返還を求めます。

  なお、貴殿の誠意ある対応を求めます。この書面が届き次第十日以内に内容証明郵
  便にてご回答下さい。ご回答が頂けない場合、記載内容について認めたものと諒解
  致します。
平成十年九月二十二日
   徳島県徳島市******
                     DAI
熊本県熊本市******
A子殿
(続く)