10.私は脅迫者?



 さて、それから半月ほど経って大家からの返信が届きました。こちらも内容証明郵便です。管理人にでも尋ねたんでしょう、ワープロではなく、市販の内容証明便箋にやたら筆圧の高い字で書きなぐってあって、迫力満点です。
全部紹介するのも面倒なので一部抜粋します(別に都合の悪いところを隠しているわけではありません。「興味がある」という方は別途メールでお知らせします)。
 始めに、賃貸借契約を結ぶ経過が書いてあって、その後こう続きます(句読点の打ち方などおかしな点は原文のまま。これがまた妙な迫力を醸し出しています)。

『平成七年八月頃、久本様が退去され一緒に退去する由、の約定も破られました。
 私と致しましては@@@に(DAI注・私の勤務先の名前)にお勤めの方だと存じて我慢をしてまいりました。それなのに退去された後の貴殿の態度は何ですか。
 脅迫したような態度には恐怖心さえ感じました、契約書第一二条の条項に動物を飼育してはならないとの規約があるのに動物を飼って居られましたね。退去後部屋を掃除された方も皆ご存知です動物のけも採取しております・・・・(中略)・・・動物飼って居られたので、とにかく ハウスクリーニングは当然しなければならないのです、退去後の補修代金については早急にお支払い下さる様お願い申し上げます、先ずは御返事まで』

 さて、ここで問題です。
 私はいつこの大家を脅迫したのでしょう。
 身に憶えのない言いがかりをつけられ金銭を要求されている私の出した返事が、前の手紙です。冷静かつ沈着と誉められても、脅迫されたなどとさらに言いがかりをつけられる筋合いではありません。
 早速返事をしたためました。

          通告書

十月八日、貴殿よりの内容証明郵便を受け取りました。私の指摘について何の回答もな
いばかりか、「脅迫」などという言葉を使っての非難、私の人格及び私の社会的信用に
対する理由もない侮辱、更には存在しない契約まで作り出す内容に、大いに驚愕してお
ります。貴殿がこの様な誠意の一片もない対応を続けられるなら、民主国家である日本
の民主的な紛争の解決手段として、また私と家族の平穏な生活を取り戻す手段として、
熊本地方裁判所に訴えを提起する所存です。

改めて敷金の残額十五万一千四百二十円也の返還を求めると共に、以上通告します。

平成十年十月十四日
   徳島県徳島市**********
                     DAI
熊本県熊本市*********
A子殿

(続く)