46.判決(解説編)


ものすうごおおおく、間が空いてしまいました。
申し訳ございません。
これくらいさぼるともう、この一言以外何もないって感じですね、ホントに。
まあ、あの、忙しかったとかなんとかもあるんですが、この間酒飲んでるヒマもなかったかと言えば、しっかり酒も飲んだり好きな作家の新刊も読んだり、「千と千尋の神隠し」も見に行ったりしていたわけで、これだけ長くなると言い訳も聞かないなと。 「判決」をアップしてしまうと、「ああ、良かった・・・・」てな感じで、燃え尽きてしまったのが正直なところです。

この判決をもらったときは忘れません。
それはうれしかったですよ。
たまたま妻が実家に帰っていたときで(喧嘩したわけではないので、為念)、うちに帰ると不在通知。
緊張しますねこれは。
で、翌日昼休み、中央郵便局にてくてく出かけて、ハンコ押して特別送達郵便頂いて、どこで開こうかとおろおろドキドキしながら、駅ビルの煙草も吸える休憩所、どかと腰を下ろして封筒の封を切る。
 封筒が厚い。一審の判決はぺらぺらでしたからね、まるで雑誌が入っているんじゃないかと思うくらいの熱さいや厚さ。 じっとりと汗をかきながら、封筒の中から出てきた判決、表紙には当事者の告知だけで主文は読めない、「ほう」と一呼吸おいてページをめくる。
主文・・・・の次は・・・・?
ああ・・?
十一万・・・・・・@+*$%”#$・・・
・・・落ち着け・・・・。
・・・・・勝ったのか・・・?
・・・・・・・・・勝ったのか??

勝ったんだ、俺、俺、勝った、、、、
あ・・・・・・・・・・・・

うれしかったですよ。判決握りしめて、すぐに妻のいる実家に電話しました。
言いたかった、「ぁぁあ勝ったぞ!」・・・・・。

実家は留守でした。
でもまあ、再び椅子に座って、煙草にしゅぱと火をつけてすううううと一息吸って、一人でにこりと笑いました。
付近の人は恐かったでしょうね、きっと。
今も忘れません。額にうっすらと脂が浮かんでました。

さて、解説です。
最初から色々並んでいますが、結論は「第三、当裁判所の判断」のところだけです。それまでは、「君たちさんざウチきて言いたい放題言ったけどね、それって結局まとめればこう言うことだろ、ああ」って言う裁判所の確認事項です。
「これだけまとめてやったんだから、あんたたち、文句ないよな」って感じですね。

で、「当裁判所の判断」ですが、まず、最初にこう宣言してます。
「合理的に裁判所が考えれば、自然に汚れるものや、普通に使っていれば汚れるものは賃借人の責任ではない」
さらに
「かりに不注意で賃借人が傷を付けたりするようなことがあっても、それの賠償は「汚損・破損」の修復として必要で合理的なものでなければならない」
この前提で裁判所は判断する。
そういうことをはじめに言っているわけですね。
で、次。
「クロスの破損汚損は、裏付ける証拠がないばかりか、大家側のすべての証人によれば(大家も含む)、汚損破損の程度に関わらず、これまでずっと、賃借人が転居したときクロスの張り替えをしていた。今回もそれと同じ視点で行われていた」「DAIには違反があったとは言えないばかりか、もしあったとしても因果関係を認めることはできない」
と断言しました。
で、「クロスにネコの匂いがついていた」と主張した内装工事の億さんの証言についても触れて、
「そう証言するが、確かにある程度の動物臭がつくのは仕方ないけれど、クロスはビニールだから、張り替えなければその臭いが取れないことは、その証人自身の証言からも考えられない」と切り捨てました。

次に天井についても、大家側の証人(さっきの内装業者)の証言を元に、「ネコの周期が天井に付着していたとは認めることはできない」としました。

次、フローリング。
裁判所はこう言いました。
「ネコは爪を立てて歩かない(裁判中、すべての証拠による)し、DAIの妻はネコの爪を切ったり、フロアに絨毯を敷いたりしてネコの損傷を防止する措置を取った」
さらに大家側の証人(内装業者)の証言を元に
「彼が匂いがしたと言った場所にはまったく爪の跡などキズがなかった。なら、100%否定できなくても、フロアを全部張り替える理由はない」

この跡も細かく検証が続きますが、もう、同じようなので省きます。これ以上興味のある方は前回の判決原文を読んだ方がいいですしね。

でも大事なのはもう一つ。
「ネコを飼っていたから」すべて悪いのか?
この点について裁判所は
「ペットを飼っていけないと言う特約契約は、匂いがついたり傷が付いたりすることから部屋を守るため。今回のケースではそう言うことはまったく認められない。大家は精神的損害を受けたとも言っているが、仮にそうだとしても、DAIの側に違法行為はない」とこれまたばっさり切り捨てました。

結局一審と何がかわったかというと、「消費税」なんです。
一審は、大家の側に認めたハウスクリーニング代・網戸代に消費税分を付け加えるのを忘れていたから、それを付け加える、と言うだけ。
あの大家、弁護士まで付けて手に入れたのは消費税分だけ。 最近は着手金百万らしいですよ・・・・・。

これで終わったかって?
次は、大家から敷金を返してもらわなければなりません。
弁護次第だけで大赤字の因業大家から。
払うか?

(続く)