ウエスト・サイズ・ジェンダー (その1)



いえ、あの、ジェンダーなんて、第一回目だからって格好つけて難しい話をしようってんじゃありません。
ジーンズの話です。
最近のジーンズって、好きですか。
あの薄くって、カラフルで、ストレートかベルボトム。これじゃまるで綿パンじゃないか!って、ジーンズも綿なんですけどね。
まあ、お好きな方にはそれでいいんでしょうが、どうも私、あれが苦手で、好きなタイプを探すのに最近は結構苦労するんです。
股の所やひざの裏なんかがごわごわするくらい固くって、ざらり、としていて、おまけに脱ぐときは転がんなきゃならないくらいなスリム・タイプ。
かつてはエドウィンのイタリアン・スリムっていう、もう私の理想を現実化していただいたようなすばらしいものがあったんですが、この何年かとんと見かけません。
ジーンズくらい好きなものはきたいのに。「個性の時代」なんて一体いつ日本にやって来ると言うのだろう。

などと、愚痴こぼしていてもはくジーンズがなくなってしまうだけなので、私は考えたのです。
「レディスのスリムをはいたらどうだろう」
幸い私の体型はやせ型、というより健康診断では「やせ」という人権問題になりそうなスタンプを押される身です(「デブ」ってスタンプ押したら問題になるぞ、絶対。せめて「痩身」くらいにするべきだと思う)。
それでも三十路を超えて女性よりは肉付きの良い体です。
となれば、レディスのスタンダード・スリムが案外いいんじゃないかと、そう考えたわけです。

で、早速この前のゴールデンウイークにジーンズショップに出かけて行きました。
さすがに私1人でレディスを買いに行くのは気が引けましたので、「相変わらずバカなこと考えるわね」とつぶやいている妻に付いてってもらってです(^^;。
私のウエストサイズが、ジーンズの場合メーカーで若干差があるので72から74センチくらいなんですが、それくらいのものをいろいろ見ているうちに、(計画は失敗だったかなあ)と思い始めてきました。その気持ちを見透かしたように妻が言います。
「お尻が大きすぎるわよ」
そうなんです。どれもこれも私のお尻がたっぷり二つは入るくらいのヒップサイズです。
「こりゃちょっと着れないわな」
「当たり前よ」

なんて話しているうちに、ふと気が付きました。
手に持って眺めているそれらのジーンズが大きいのはどうもヒップだけではなさそうです。
最初はあまりに巨大なヒップばかりが目立っていたんですが、よく見ると、ウエストもかなり大きそうです。
腰に当ててみました。
「おい、これ」
無言で見ている妻も、不思議そうな顔で言います。
「でもこれ、72センチよ」
そう、その時はいていた私のジーンズのサイズと同じはずなのです。
なのに、腰に当てただけのジーンズは袴のように大きく腰からはみ出していました。
(続く)